御苑筆姫物語 レビュー

読書

喜咲冬子さんの作品ってまだ、数冊しか読んだことがないけど…やっぱ好きかも。

この物語は、KADOKAWAさんのHPの紹介ページによると

六つの物語を六人の姫へ その一筆が波乱を呼ぶ中華ファンタジー

呑気な隠居を夢み、円満退職を願う代筆係の采女・蒼月。期せずして皇帝から六人の姫へ贈る恋文と、物語の執筆を頼まれることとなる。蒼月は六つの物語作りに奮闘するはずが、祖国の反乱に巻き込まれ――?

こんな感じ。

物語の主人公は代筆業に就く采女の蒼月。彼女はいわゆる手に職がある自立系女子です。

もちろん、ファンタジーなので采女の役割などは作者の創造のたまものらしいのですが、超難関試験に合格してエリート職の采女という職に就き、なおかつそこで副業の代筆業で名をとどろかせるくらいの実力の持ち主。代筆業とは依頼人の筆跡にかなり似せた上で、少し綺麗な字にして手紙を代わりにしたためるもの。うーん、書の技術が半端なかったんですね!

性格は控えめ、自分をしっかり持っていて、思慮深い。感情ででつっぱしることがなく、嫌がらせされた時も、対応が大人。そのくせ、大の本好きで、本のことになるとちょっと変人になっちゃうところもある。

巻き込まれる暗殺事件でも、本好き過ぎてピンチに陥るも、諦めずに活路を見出そうと機転を利かせてあがく姿はかっこいいです。また、徐々に明かされる過去の出来事によって、その強さがどのようにして身についていったのか…身につかざるを得なかったのかがわかってきて胸アツ。

本が好きで、夢は定年退職と自適な生活。そのためにブレずにずっと生きてきたけど、大事なものが何かはっきりしてるから、いざという時には身を挺して行動ができる。その潔さも魅力的です。

そして!そんな蒼月に魅了されている人が皇帝・叡泉です。

直接的な表現こそないものの、これは絶対に蒼月のこと好きだな。という要素が点在していて、見つけるとウキウキしちゃいます。いいぞ皇帝、もっとやれ。

しかし、蒼月を見初めたのはいつなんだろう…瑠璃園の池泉でなのか否か。そこには直接は触れられませんでしたが、「瑠璃園物語」の舞台がこのあたりです、の下りで物語の結末を気にしていたところを見ると、なんとなくそうだったんじゃなかろうかな。

元僧侶で、期間限定での皇帝という特殊な立場の叡泉は、これまた魅力的なキャラクターです。国、国民を守ることに真剣で賢く、期間限定だなんてもったいないと惜しまれるくらいの稀代の名君。敵地の前線に乗り込むことすらいとわず、大胆に行動もできるし、なんといっても蒼月のこと好きですし。ここが重要。

皇帝からのスマートなアピール?にも全く気付かない、恋愛ごとには疎い蒼月もおもしろいです。2人ともちょっと恋愛には鈍そう。「貴方のことを思っていると、胸の内から、よい言葉が出てくるような気がする」と皇帝が言えば→よい言葉…気の利いた言い回しが自然と浮かぶということは、よい指導ができてる自分の手柄!と喜ぶ→「もったいないお言葉でございます。では」とすぐにバイバイする蒼月。

なんか通じなくて、皇帝相手なのに淡白な蒼月と、それに流されてしまうところも逆に誠実な男らしくて良い皇帝。笑

ちぐはぐだけど、きっと相性抜群のこの2人を推してきます。なんだかんだで、長く一緒に過ごしていってお互いに大事な人になっていって欲しいな。とまあ、結局はこの恋愛要素が私好みなのでした。

是非、続編も読みたい。出ないかな…

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